MORE 2012年09月号
自分の価値
簡単には本音を言わないのに、
大切なところは嘘をつかない。
二宮和也の歩んできた一途には、
一途な本音がにじんでいる。
取材・文/芳麗 撮影/江森康之
ヘア&メイク/服部幸雄 スタイリスト/伊賀大介(KiKi inc.)
自己PRや自分語りしたところで、
自分の価値って上がるのかな?
それは他人が決めるものだと思う
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下町の川沿いでフェンスにもたれかかる。『24時間テレビ』のドラマで演じる役柄のため、金髪になったニノは、よりいっそう若く見える。29歳の誕生日も迫っていた。
「自分の中では、10代の頃も今も変わってない感じがする。若くありたいなんて全然思っていない。言ってしまえば、ルックスだってどうでもいいしね。外見がどんなに変わっても、その自分に来る役柄をやればいいかなって。これまでだって、たぶん外見が理由で仕事をもらえていたわけでもないしねぇ(笑)。特に根っからの役者さんなんて、美しい外見だけにこだわってる人は少ないんじゃない?その顔だから、その風情たから、自分に仕事が来るってことがわかってるから」
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自分の価値を、若や美しい外見にはおいていない。では、ニノの価値とはなんだろう?
「わかんないよ(笑)。自分の価値なんて測れないし、測りたくもない」
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たとえば、話術はどうだろう?バラエティ番組にせよ、現場でのコミュニケーションにせよ、ニノの会話は自然体で面白い。老若男女を引き込む力を持っている。それは、大きな魅力のひとつだけれど。
「自分では話術があるとは思つてないよ。ただ、トーク番組や普段の会話でも、相手が話しやすい空気をつくろう 』はしているかなぁ……。たとえば、『ひみつの嵐ちゃん!』のシェアハウスでは、座り方とかしぐさとか、素の自分より行儀悪てダラダラしてみてる(笑)。自宅で話しているっていう番組の設定を、観てる人に理解してもらいたいし、ゲストにリラックスしてほしいから。相手の意外な一面を引き出すとか、閲いたことない話を聞くなんてことは、あまり重苦じゃないと思ってるんだよね。いちばん大切にしてるのは、相手が話しやすい環境をつくること」
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その心遣いが結果的に、相手の心をゆるませているのかもしれない。
「極力、自分の話をしないの会話をスムーズにするポイントだと思うよ。起承転結をつけてネタをしゃべれる人だけが、会話上手なわけじゃない。オレは全体を見て、誰かにツツコんだり質問したりして、流れや空気をつくっていく。司会じゃなくて、裏回しタイプだよね(笑)。嵐の中でもそういう役割だし、普段の生活でもほぼ同じ感じ。自分はこう思ってる!とか、最近あった面白い話を披露するような話術はないし、もはや、求められもしない(笑)」
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自分について話さないのはテクニックではなくて、「話したくない」という意思でもある? と聞くと、「まぁ、そこはうまく逃げてきたよね」と笑った。ニノの考えは、はやりの”自己プロデュース”とは真逆だ。
「自分について話すことなんてない。よくわからないけど、しつこく自己アピールして自分の話をしたところで、自分の価値って上がるの?(笑)。いろんな人が語ってくれるのがオレなんだろうし、自分の価値なんて他人が決めることだと思うから」
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オレのポケに唯一気づいて ツッコんでくるのが相葉くん
ニノのツッコミは相手会生かす攻撃であると同時に、自分を明かさないための防御でもある。
「思うに、芸人さんに限らず、ツッコミ気質な人のほうが実は、ボケっぷりがはげしい人が多い気がするんだよね。少なくともオレの周囲の人はそう。実は、ポケの入ってかなり頭がいいでしょ。だから、ネタとして程度のいいボケができるし、ツッコみやすい空気をつくれる。でも、ツッコミの人って、行動がぶつ飛んでたり、常識がズレまくったりしてる人も多い。もはや、笑いのネタにはならないレベルのボケだよね。そういう人があけすけに自分の私生活を語ったところで、ドン引きされる可能性が高いんじゃない?(笑)」
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それはニノ自身のことでもある?
「たぶんね(笑)。オレはそういう自分を知られたいわけじゃないから、なるべくムダなことをしないようにしてるけど……。自分ではわからないところで、自然と出ちゃってるところはあるんじゃないかな」
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海に来て「海は広すきて嫌いだ」とつぶやいたり、インタビュー中におもむろにギターを弾きだしたり。たしかに思い返せば、些細なことでも、ニノの発言や行動は天然で、実はツッコミところが多い。
「オレ自身がツッコミだから気づかれにくいっていうか、まさかポケてるとは思われないよね。たとえ気づいても、ツッコんでくる人はもっといない。ウチでは相葉(雅紀)くんくらいじゃない?ほかのメンバーも気づいてるかもしれないけど、相葉くんは子どもの頃から長く一緒にいるせいか、誰よりも先に気がつく。普段も番組でも容赦なくツッコんでくるから、ああ、オレは今、ポケてるんだってわかるんだよね(笑)」
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Kazunari Ninomiya
1983年6月17日、東京都生まれ。 人づきあいは、圧倒的に年上の先輩たちから学んできたというニノ。そろそろ、年下の後輩たちの面倒も見るように?「Sexy Zoneとか?可愛いけど、まだまだ若い彼らを連れ回すワケにいかないしねぇ(笑)。性格的にも、これからも年上とつきあい続けるんじゃないかな。40歳になったら、きっと60歳と仲よくしてると思う」