草丛里的蝈蝈

SOMEWHERE IN TIME

二宮和也のIt「一途」第76回 芸

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二宮和也が自他ともに認める

“唯一無二の変人"のゆえんとは?

彼の内に秘めた一途な思い、

その一途をたどれば見えてくる。


取材・文/芳麗 撮影/江森康之

ヘア&メイク/服部幸雄 スタイリスト/伊賀大介(band)


 年が明けてからの個人の仕事——主演を務めるTBS系の大型スペシャルドラマ『赤めだか』の撮影が始まる直前。その心境を尋ねてみると、意外なことを教えてくれた。

 「実は数年前、(立川)談春さんにお会いしたことがあるんだよね。(笑福亭)鶴瓶さんと(三浦)友和さんが一緒にいる時にオレを呼んでくれたの。『落語家なんですよ』、『もちろん知ってます!』なんてたわいもない会話をしただけだったけど、印象深くて。今回、談春さんを演じることになった時、勝手にだけど、縁を感じてうれしかったんだよね。あの夜のことを覚えていてくれたのかなぁなんて、妄想して(笑)」


 芝居においてもバラエティにおいても”語りの技術”に長けるニノのこと。落語家もハマるに違いない。

 「それはどうかなぁ?落語は、今、学んでるところだけど難しいよね。何が難しいのか説明するのも難しい(笑)。まず、話を全部覚えなきゃいけないっていう物量の大変さもあるし。伝統芸能だからね、当たり前だけどそう簡単にモノにはできないよ。やっぱりひとつの芸を極めてる方々はスゴいなとあらためて思う」


 ニノにも、演じること、歌って踊ること、番組やインタビューにおいて語ることなど、多くの芸がある。

 「でも、オレのやってることは、誤解を恐れずに言えば、どれもいわゆる”芸”だとは思っていない。それだけでお金を稼いでるっていう意識がないもん。特別に芝居がうまいから作品に呼ばれてるわけじゃない。あくまでも、いろんなことをやらせてもらってることが、次につながってるっていう認識だから」


 たしかにアイドルとは芸はあっても芸に依りず。個性や存在そのものが求められる仕事。でも、歌やダンスについてはどうだろう。何万人ものファンにじかに会って熱狂させるコンサートができるのは、歌って踊れるアイドルならではの芸ではないか。

 「うん。でも、やっぱり自分の歌やダンスが特に優れてるとは思えないなぁ。腰を痛めてからは、バク転をするのが怖い気持ちもあるし(笑)」


不満を言うのは10回に1回

それが自分なりの策略

 話題は珍しく”彼自身の体のこと”にスライド。二ノはデビュー前の中学時代、ダンス練習をしすぎたのか腰痛持ちになった。昨年、ハワイ公演のドキュメンタリー番組で明らかにしたものの、これまでは極力、悟られないよう仕事を続けてきた。

 「心配されると、観る人に楽しんでもらえない仕事だから言わなかった。それに、全部オレが悪いんだもん。この仕事をしてる限り、腰痛に限らず、どんな体の不調も自己責任。正直、多少の痛みはいつもあるよ。もう、痛くない日なんて忘れちゃった(笑)。でも、我慢できないほどじゃない。バク転は避けたいけど、踊れるし、フライングもできる。悲観は全然ないから、今後も心配はされたくないな。オレ自身は、視力が悪いこととかと同じ、自分の一部だと思ってるの。ある程度の視力はメガネとかで解決できるし、腰痛もひどければ、和らげられる。さっきも言ったとおり、たいしたことじゃない」


 対処法は、ほかにもあるという。

 「それに、腹筋と背筋を鍛えて腰を補強して、腰痛を軽減させるっていう方法もあるって聞くしね。若い頃から腰痛持ちだった人が、筋トレをすすめられて熱心に腹筋するようになって、それがきっかけで、体を鍛えることの面白さにハマったっていう例もあるみたいだし」


 それなら、二ノも鍛えればいいのに!と口をはさむと一笑に付す。

 「ヤダよ(笑)。腰痛うんぬんとは関係なく、オレは、そもそも鍛えることに関心がない人なの。ひとりでブツブツ言いながらゲームしてるほうが好きだし(笑)。もし、裸になるような撮影の仕事が来たとしたら、またその時に考えるよ。それが価値観ってやつなんだろうし、オレ自身なんじゃないのかなぁ?」


 ”鍛えることに関心がない”のも、これまでの歩みで身についたであろう我慢強さも、ニノの個性や魅力であり、言い換えれば、芸なのだろう。

 「たしかに、ある意味では我慢強いのかもね。どんな仕事でも『イヤだ』とはめったに言わない。たいていのことは受け入れられるし、人に合わせることも苦痛じゃないから。それにね、どんなことでも、10回に1回。しか不満を言わなければ、その1回は自分の意見を通せる可能性が高くなるじゃない?それが、オレなりの知恵だと思う(笑)」


~🍃~

体に感じている痛みも、

体を鍛えることに関心がないのも、

自分の価値観であり、一部だと思う


Kazunari Ninomiya

1983年6月17日生まれ、東京都出身。嵐のNEWシングル『Sakura』が発売中。今年はたくさんの興味深い作品に挑戦するこノ。「年の半分は個人の仕事になりそう。(ビー卜)たけしさんとか、吉永(小百合)さんとか、大御所の方々とご一緒するから、いろいろ勉強させてもらう側になると思う。ほんとに楽しみだよ!」



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